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東京高等裁判所 昭和31年(ム)2号 決定 1957年2月04日

再審申立人 有限会社堀井保全社

主文

本件再審申立を却下する。

理由

本件再審申立の理由の要旨は、

前掲特別抗告事件は、東京高等裁判所が昭和三十一年(ラ)第七三九号競落許可決定に対する即時抗告事件につき、同年十一月二十八日同裁判所のなした抗告棄却の決定に対してなしたものであるが、右決定は提出済の抗告理由書を提出なきものとし、これを看過してなしたものであるから、民事訴訟法第四百二十条第九号に該当し、憲法違反でもある。前掲(ラク)第三九四号特別抗告事件の決定は、前記の決定を基礎としてなされた。そして右決定裁判官は前審裁判官と同一裁判官であるから、民事訴訟法第三十五条第六号に抵触するものである。

というにある。

しかし、最高裁判所に対する特別抗告事件については、一般上告の場合と同様、原裁判所にこれが適否審査の権限が与えられており(民事訴訟法第四百十九条ノ三第四百九条ノ三第三百九十七条ないし第三百九十九条ノ二)、この場合民事訴訟法第三十五条第六号の規定は当然その適用を排除されるものと解すべきであるから、前記即時抗告事件の決定に関与した同一の裁判官が、特別抗告事件の審査並に決定をしたからとて、同法第四百二十条第二号の再審事由には該当しない。

再審申立人の主張するその余の点は、右特別抗告事件に対する関係においては適法な再審事由とならない。

よつて本件再審申立はその要件を欠く不適法のものとして却下すべく、主文のとおり決定する。

(裁判官 薄根正男 奥野利一 山下朝一)

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